特許翻訳学習ログ(6)物理化学モードへ+シラバス再構築+ツールなど

物理化学モードへ
最近、様々な化学結合・反応をより深く理解するため、および反応機構を体系
的に整理するため、二つの方針を定めました。

1.大学の(主に海外の)テキストと岡野氏・橋本氏のテキストの章立てを統合して
串刺しで学習する。
2. 一般書を複数利用して物理化学と分子軌道論の概要を加味しながら学習する。

今まで学習してきたコンパクトなOrganic Chemistry as a Second Language(OCSL
First Semester Topics, Second Semester Topics)と最近購入したJohn McCurry氏の
Organic Chemistry(翻訳+原書)の章立てを見たところ、順番はほぼ一致しており、
また講座で言及される重要事項が網羅されている印象があったので、基本的には
両書の内容に岡野氏の内容を統合して学習することにしました。

もちろんOCSLもMcCurryも今すべては読めませんが、岡野氏のポイントと両テキ
ストのつながりを重視して、自分のこれまでの勉強内容を違うレベルで再整理する
意味もこめて、ノートにまとめていっています。

高校と大学のテキストの章立てで一番の違い(と私が感じたこと)はやはり反応機
構の概要が俯瞰的・体系的に説明されているかどうかです。岡野氏の本で扱われ
る個々の化合物の反応の意義を一歩進んで学習する準備として、今はいったん復習
をかねて化学結合(原子間の各種・分子間の各種)と反応機構全般をおさえること
を試みています。

そして、化学結合や反応のお話はエネルギー、さらには軌道や分光学のお話でも
あるので、化学に物理をもう少しつなげたかたちで理解するために、一般向けに
図版多数でまとめられたナツメ社、化学同人社、講談社などの物理化学(おそらく
Peter Atkins氏の枠組みをもとに一般向けにやさしく解説されたもの)・分子軌道
論関連書籍も参考にさせてもらうことにしました。(ですので多少岡野氏の理論化
学や橋元氏の物理の内容に入ることにもなりますね)

また、物理中心に学習の力点を移す時期には可能な限り数学(とくに微分・積分、
線形代数や統計)にも結び付けていきたいと思い、まず数学のコンセプチュアル
な理解を助ける本をいくつか買いました。ファインマン物理学はまだ難しすぎる
ので、NYTimesのベストセラーになった漫画Feynman(by Jim Ottaviani and
Leland Myric)のみ取り急ぎ入手。とても面白そうです。

さらに、アメリカの複数の大学の先生方が化学や物理をはじめ、多数の関連分野
で無料テキストを体系的に公開して下さっているありがたいサイトLibreTexts
最近見つけましたので、こちらも適宜利用しています(“Explore the Libraries”にカ
ーソルをあわせると取扱い分野が見られます。ちなみにChemistryのライブラリで
McCurryの要約が読めます)。自分の授業でも利用できるものがあるかもしれず、
教材探しの意味でもチェックさせてもらっています。

ツールなど
毎日どんどん増えていくreading list ややるべきことを加味しつつも、現実の制約
のなかで日々の仕事をこなしながら目標に近づいていくために、自分用シラバス
の細かい可視化とリアルタイムでの編集にも一層力を入れ始めました(日々学生
さんにしてあげてることを自分にもしてあげるということですね)。

具体的に行っていることは以下です。

1. 以前より細かく学習テーマ、学習項目を洗い出し、また本業の仕事の数々も含
めて、当面のプランを1月半ば(次学期の始まり)までのカレンダーにマップア
ウト。
2.いつでもどこにいてもスケジュールの確認・調整・リビジョンを可能にするため、
タスクマネジメントツールとして、Asanaを導入。

Asanaは主にエンジニアがチームで使うプラットフォームですが、Co-founderの前職
場であるFacebookを始め、GoogleやIntelやHarvard Univなど、たくさんの有名企業や
機関で部署を問わず利用されているものです。幸い個人での使用ができ、無料版があ
ります。無料でも大変使いやすいですし、疑問があれば、開発チームの運営するフォ
ーラムに投稿すれば、すぐ答えていただけます。またinstagannttというサービスとイ
ンテグレートすることで、自分のto do listから自動的にガントチャートが起こせ、
アップデートできるのも便利です。エクセルやpdfなどへの変換もできます。

また、ノートテイキングのツールとしてiPad pro+Apple pencil+Goodnotes4/
Notabilityのコンビネーションも使い始めました。デジタルながら手書き感覚でノ
ートテイキングができ、各種無駄打ち・リビジョン・再構成がいくらでもでき、
ウェブからのクリッピングも容易で、手書き部分も検索が可能、また、既存のpdf
テキスト自体を取り込んでアノテーションをしてノート化することもできます。そ
してpdf出力して印刷した上でアナログ使用することももちろんできます。まだ完全
に使いこなせてはいませんが、やってて楽しいですし自分には合ってそうです。

このデジタルノートテイキングの手法は今日本を含めて世界の医学部の学生さんたち
の間で普及しているやり方を参考にしたものです。

実は勉強中、ふと医師をしている幼馴染が学部時代「医学部は時間割が日割りなんだ
よね」といってたのを思い出したんです。それで、今の自分の状態ってまさに学習内
容が日割りの医学生に近いし、じゃあ自分が教えてる世代くらいの方々はどうやって
医学部で勉強してるんだろう、と興味をもって調べてみたら、みなさん手練れで感服
した次第。


Cambridge大のAli Abdaal氏の”How I take notes on my iPad Pro in medical school
(2018) -Cambridge University medical student”より

自分の勤めるキャンパスには医学部はないし、そもそも担当している授業はコンテン
ツ寄りではなく実技寄りの科目なので、こんな感じでやってる学生さんは周りにはい
ないのですが、もしかしたら将来現場で使うように、というお達しがでないとも限ら
ないので、教員としてのprofessional developmentの目的もこめて導入してみました。
(実際近年教育現場での新しいtechの導入のサイクルが以前より速くなっていると感じ
ています)

引き続きじっくり小走りの決意
もっとも、肝要なのはツールより中身ですので、心して精進いたします。やはり12
月半ばまでの最優先優先順位は化学・物理(+適宜数学)です。(その後も継続して
化学・物理・数学は勉強していきますが、とりあえずその時期までにまずは学習を
一周させる、という意味です)。対訳・特許関係(Trados操作、特許・特許文書全般
の勉強・興味分野の背景技術の勉強も含む)は並行して少しずつやっていくことにな
ると思います。

引き続き滝汗かいて千里の道を小走りします。